3: 忍法帖【Lv=5,xxxP】 2011/04/16(土) 20:30:39.71 ID:FOOrhtWu0 ID検索
一億出してでも買う 5: 代理ありがとう! 2011/04/16(土) 20:33:08.09 slYQO2SRO ID検索
唯「……」ピッ!
眼鏡ケースを素早く取り出し、流動的なフォームで眼鏡を外すと、収納。
──電源OFF
和「じゃあ私、生徒会行くね」
唯「ふぁぁあああっ」ゾクゾクゾクッ!
唯「眼鏡がある和ちゃんとない和ちゃんを楽しめる様にしてるなんてわかってるぅ!
しかも眼鏡のはずし方とかこうシュッて感じでカッコいい!」
唯「もっかいつけます!」ピッ!
和「全く、私がいないと」
唯「切ります!」ピッ!
和「じゃあ私、生徒会」
唯「つけます!」ピッ!
和「全く(ry」
唯「切りま(ry」
和「こら、電気は大切にしなさい」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:35:58.43 slYQO2SRO ID検索
唯「えへへ怒られちゃった。なるほど、三回以上付けたり消したりすると和ちゃんに叱られるんだね!
それもまたよし……えへへ」ニタァ
唯「さて、どこに行こうかな~」
唯「え~と、確かこのノート型ウインドウに行きたい場所を書き込んで見せればいいんだよね」カキカキ
唯「出来たよっ! さあ和ーナビちゃん私をここへ案内して!」
唯『最近駅前にできた新しい喫茶店』ミセミセ
和「……」
和「もっと具体的にお願い出来ないかしら?」
唯「具体的に? うーん……あ!」
唯「ならこうして~っと」カキカキ
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:38:08.15 slYQO2SRO ID検索
唯「ほいさっ!」
唯『最近駅前にできたチョコレートパフェが美味しい喫茶店』
和「……店名とかわからないのかしら?」
唯「店名? うーん……わかんない」
和「……」
唯「……」
和「そうなんだ。じゃあ私、生徒会行くね」スチャ
唯「ええっ!?」
和「」シーン
唯「勝手に電源落としちゃやだよぉ」ピッ!
和「ふふ、あなたはどっちかって言うと人生の迷子ね」
唯「おぉ! 違うパターンもあるんだ!
でもさらっと酷いよねそれ」
和「目的地を早く決めなさい」
唯「う~ん……確かお店の名前の最初に「せ」がついたような……」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:41:14.80 slYQO2SRO ID検索
唯「そうだ! 確か検索も出来たはず!」
唯「え~と~桜が丘の喫茶店の~お店の名前の最初が「せ」~と」
せ 生徒会長(第三十三代目)
真鍋和 住所××-○○-△△
生徒会長(第三十二代目) 曽我部恵 住所△△-○○
唯「何故か歴代生徒会長の住所が出てきたよ!」
唯「というかどの文字検索かけても生徒会関連ばっかりだよ!」
和「じゃあ生徒会行きましょう」
唯「えぇ~……」
和「音声案内を開始するわね」スタスタ
唯「あぁんっ待ってぇ~行くからぁ!」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:42:36.91 slYQO2SRO ID検索
和「……ほら、シートベルトしなさい」
唯「ん? でも私達歩きだよ?」
和「……いいから、ほら」
和ーナビはそう言いながら左手を唯の掴み易い位置に差し出す。
唯「……んふっ、は~い♪ へっへへ~♪」ぎゅむ
唯はその差し出された手に子犬のように飛び付き、腕を絡めた。
和「じゃあ行くわよ」
唯「ほーい」
和「しばらく直進ね」スタスタ
唯「ふむふむ。直進と」スタスタ
和「300m先の信号を左折ね」スタスタ
唯「左折と」スタスタ
和「次の信号を右ね」スタスタ
唯「右と」スタスタ
和「……ここどこかしら」
唯「えぇっ!?」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:44:58.59 slYQO2SRO ID検索
唯「まだ二回ぐらいカーブしただけだよ!?」
和「ルートから外れたみたいね。仕方ないわね、唯は」
唯「和ーナビちゃんについて来たんだよ私!?」
和「ルートの再検索をするわね」ピピピー
唯「おぉっ! なんかカッコいいっ!」
和「ふふ、こっちね」
唯「さすが和ーナビちゃんだよ! ルートの再検索も早いよ!」
\ピンポーン/
和「」唯「」
/いらっしゃいませー\
唯「あれ? ここローソンじゃ……」
和「すいません、世界地図ください」
コンビニの店員「世界地図はちょっと今切らしてて……」
唯「なにやってるの和ーナビちゃん!?」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:47:00.31 slYQO2SRO ID検索
和「何ってルートの再検索をするために世界地図を買おうとしてるのよ」
唯「自分で出来なかったの!? それに世界地図じゃわからないよ……? 多分」
和「唯、地球は丸いのは習ったわよね?」
唯「う、うん」
和「つまり世界は繋がっているのよ。この桜が丘然り、ね」キラリッ
唯「う、うん?」
和「てわけで買うわね」
唯「う、うん?」
店員「すいません、日本地図ならあるんですけど……」
和「……じゃあそれで」
唯「買うんだ!」
和「買わないと行けないじゃない、喫茶店」
唯「喫茶店行こうとしてくれてたんだ……! ありがとう和ーナビちゃん!」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:48:20.42 slYQO2SRO ID検索
和「じゃあ改めてルートの再検索をするわね」ペラペラ
唯「頼んだよ! 和ーナビちゃん!」
和「ぁ……載ってな」
和「コホン、こっちね」
唯「さっき載ってないって言おうとしなかった!?」
和「気のせいよ。音声案内を再開するわね」
唯「心配だよぉ」
和「早くシートベルトしなさい」
唯「はーい」ぎゅむ
和「500m直進ね」スタスタ
唯「直進と」スタスタ
和「しばらく道なりね」スタスタ
唯「道なりってなんか安心するよね~」スタスタ
和「目的地のワンピース(一つなぎの大秘宝)まで残り15kmね」
唯「安心じゃなかったよ!!!」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:50:42.87 slYQO2SRO ID検索
唯「いつの間に目的地ワンピースになったの!?」
和「唯が喜ぶかなって思って。あなた単行本持ってるじゃない。
それにすぐ近くにあったからついでに寄ってこうかなって」
唯「そんな近くにあるものなの!? 絶対ワンピース売り場とかだよそれ!」
和「私はそんな嘘つかないわよ」
唯「ん~ぅ……でも15キロは遠いよ~」
和「そうね。徒歩じゃちょっと遠いかしら」
唯「じゃあやっぱり喫茶店いこ!」
和「ええ。わかったわ。こっちね」
唯「は~い」ぎゅむ
和「」スタスタ
唯「」スタスタ
和「」スタスタ
唯「」スタスタ
和「」ジー
唯「ん?」
和「渋滞だわ……」
唯「えっ? どこどこ?」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:52:00.47 slYQO2SRO ID検索
和「私の行き詰まった唯への思いが……渋滞なのよ」
唯「も/// もうっ! 和ーナビちゃんったら!」ドキドキ
和「こういう運転手を飽きさせない機能もあるのよ」
唯「あ……そうなの」
唯「それにしても和ーナビちゃん」
和「何かしら?」
唯「こっち駅じゃないよ?」
和「……」
唯「……」
和「」スチャ
唯「あわわ…また自ら電源を落とそうとしてる……」アタフタ
和「ごめんなさい……二度も道を間違えるなんて……これなら私なんかいない方がいいわよね」
唯「そんな! そんなことないよ和ーナビちゃん!」
和「!」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:52:40.44 slYQO2SRO ID検索
唯「私はこうやって和ーナビちゃんと一緒に歩くだけで楽しいよ?」ニコッ
和「唯……」
唯「二人で一緒に探そ。ね?」
和「……ええ」
唯「え~と駅は確か~」
和「待って、唯」
唯「んぅ?」
和は指に軽く唾液を纏わすと風に当てる。
和「風は南南西から吹いてるわ……あっちが海だから……駅はこっちね」キリッ
唯「わかるの!? 和ーナビちゃん!」
和「潮風が当たる場所に駅を作らない筈よ。錆びちゃうしね」キリッ
唯「おぉ! 何かそれっぽいよ和ーナビちゃん!」
和「さ、行きましょう」クイッ
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:54:26.49 slYQO2SRO ID検索
ザザーン……
ザザーン……
クァア……クァア……
唯「海……だね」
和「海……ね」
唯「……」
和「……」
唯「……はあ」
和「!」
和「」ウルウル
和「じゃあね、私……生徒会行くからっ」
唯「和ーナビちゃんが防波堤を乗り越えようとしてる!? って駄目だよ和ーナビちゃん危ないよ!」
和「こんなポンコツ海の藻屑と消えればいいのよ! 生徒会と言う名の荒波に飲まれてしまえばいいのよ!」
唯「落ち着きなよ和ーナビちゃん!」
和「だって……喫茶店一つたどり着けないカーナビなんていらないじゃない……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 20:55:33.52 slYQO2SRO ID検索
唯「……そうだね、確かに和ーナビちゃんは方向音痴さんだね。私が言うのもなんだけど」
和「そうよね……ポンコツよね」
唯「カーナビとしては役に立たないことこの上ないよね」
和「そうよね……生徒会長よね……」
唯「でもね……和ーナビちゃんはカーナビじゃないもん」
和「えっ……?」
唯「和ーナビちゃんは和ーナビちゃんだから。道に迷ったっていいんだよ。
そしたらまた二人でのんびり歩きながら探せばいいんだよ」
唯「私はこうやって和ーナビちゃんの隣をずっと歩いてたいな」ニコッ
和「唯……」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:01:57.44 slYQO2SRO ID検索
和「私頑張るわ! もう絶対に泣き言なんて言わないから」
唯「その粋だよ和ーナビちゃんっ!」
和「行きましょう、唯」
唯「うんっ」ぎゅっ
和「(頑張るって決めたもの、唯の為にも絶対喫茶店にたどり着いてみせるわ!)」
和「すいません、駅ってどっちですか?」
唯「(うん、やっぱりカーナビじゃないよね。カーナビは人に聞いたりしないもんね)」
港の人「そりゃおめぇ反対側だぁ。って言うか桜が丘の制服着てるのにわからないのかぇ?
おめぇさ方向音痴か?」
和「……」プルプル
唯「和ーナビちゃんファイトだよ!」
和「あ、ありがとうございました……」
唯「良くできましただよ!」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:05:26.32 slYQO2SRO ID検索
唯「再び町に戻って参りました!」
和「駅はこの近くらしいけど……」
唯「あっ! 踏切があるよ!」
和「ということは……!」
和「音声案内を開始するわね」
唯「おぉっ! 久しぶりの音声案内だね!」ぎゅっ
和「ここを直進します」ビシッ
唯「……」
和「これで確実に駅まで行けるわね!」ノドンッ
唯「和ーナビちゃんのルート案内は線路も入ってるんだね……。
でも危ないからやめようね」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:10:45.14 slYQO2SRO ID検索
唯「ついたー! やったよ和ーナビちゃん!
駅だよ駅!」
和「唯、油断は禁物よ。目的地につくまでが和ーナビよ」クイッ
唯「でもここまでくれば大丈夫だよぉ。和ーナビちゃんもいるし」
和「(ふぅ、ようやく私のルート案内に信頼を寄せるように……)」
唯「へいタクシー! この辺りに最近出来た喫茶店まで!」
和「なってなかったわね!うん!」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:15:07.46 slYQO2SRO ID検索
和「ちょ、ちょっと待ちなさいよ唯!」
唯「どうかしたの和ーナビちゃん?」
和「あなた私というナビがありながら他のナビに浮気するつもりかしらっ!?」
唯「違うよ~」
和「なにがよ!」
唯「タクシーに和ーナビちゃんが乗ります」ささ乗って
和「え、あ、えっ?」
運転手「喫茶店までね?」
唯「はーい」
和「ゆ、唯?」
唯「そして和ーナビちゃんがタクシーの運転手さんをナビすれば……!?」
和「ちょっと唯!!!」
唯「!」
和「それ最強じゃない……!」
唯「でしょ~?」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:18:48.22 slYQO2SRO ID検索
和「車の速さ+私のナビ……! これでもう怖いものなんてないわね!」
唯「さあ和ーナビちゃん! 思う存分タクシーの運転手さんをナビするんだよっ!」
和「任せなさい」クイッ
和「運転手さん、50m直進後、左折」キラリッ
運転手「そっち違うよ。私場所知ってますから大丈夫ですよお客さん」
和「……あ、はい」
唯「(タクシー乗って良かった~)」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:24:53.63 slYQO2SRO ID検索
──
唯「ぷはぁ~食べた食べた!」
和「」ショボン
唯「どうしたの和ーナビちゃん?」
和「唯、私ってやっぱり方向音痴なのかしら……?」
唯「今気がついたの!?」
和「やっぱり……。町の喫茶店一つ行けないなんて……どうしようもないわね、私」
唯「和ーナビちゃん……」
和「ちょっとやれば直るなんて……方向音痴舐めてたわ、私。
こんなことにわざわざ付き合わせてごめんね、唯」
唯「和ちゃん……」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:29:24.54 slYQO2SRO ID検索
唯「……! 大丈夫だよ和ーナビちゃん!
和ーナビちゃんが方向音痴じゃないこと私が証明してあげるから!」
和「さっきトドめさしたのはあなたなんだけど……」
唯「いいからいいから~♪」カキカキ
唯「はいっ! ここに行ってください!」
和「ここは……!」
唯「いこっ! 和ーナビちゃん!」
和「……ええ」
『桜が丘高校生徒会室』
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:35:59.76 slYQO2SRO ID検索
唯「ほら、ついたよ」
和「そうね。でも当たり前じゃない。何度も何度も来てるんだから」
唯「ん、そうだね。何度も何度も来てるもんね」
唯「だから他のところだって何度も何度も行けばきっとたどり着けるんだよ、和ちゃん」
和「唯……」
唯「だからこれからも……大学生になっても……一緒に色々なところに行こうね。約束だよ」ニコッ
和「ふふ、そうね。例え迷っても唯と一緒なら楽しいもの」ニコッ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:40:15.16 slYQO2SRO ID検索
商店街──
唯「通いなれた道はいいよね~」
和「ちょっと唯……もういい加減離れたら?」
唯「駄目だよ和ーナビちゃん! 走行中はシートベルトの着用が義務付けられているんだよ!」
和「はいはい……」
憂「あっ、お姉ちゃんと和ちゃん」
唯「憂! 今帰り?」
憂「うん。今日はカレーだよ、お姉ちゃん」
唯「カレーとな? それは早く帰らねば!
和ーナビちゃんダッシュ機能だよ!」
和「ないわよそんなの」
憂「わぁああ……」キラキラ
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:54:37.18 slYQO2SRO ID検索
和「どうしたの憂?」
憂「えっと…ね、その……お姉ちゃんいいな~って」
唯「ふっふっふ、憂も乗りたい?」
憂「うんっ!」
唯「じゃあおいで! 和ちゃんカーは二人乗りだからね!」
和「ちょっと、私は乗り物じゃ……あぁもう憂まで!」
憂「えへへぇ」ぎゅっ
両サイドに平沢姉妹を連れながら夕焼けの道を歩いて行く。
和「全く……ほんとあなた達は」
知らない道を一人で歩くのは少しだけ怖い。これから大学生になり唯とは別々のルートに分岐される……けど、大丈夫。
唯「そろそろ私達の家だね~」
憂「うんっ!」
和「ふふ、目的地周辺よ、二人とも」
合流ポイントはいつだって、ここにあるのだから。
おしまい
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:55:29.07 U5VzFrqp0 ID検索
なるほど、いい話。
おつおつ!
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/16(土) 21:56:25.65 53lV547K0 ID検索
おつ、和んだ